皆さん、任天堂HPの社長が訊く読んでますか?僕の中ではここ9年以上ずーっと読んでいた企画で、あまりの面白さにソフトの発売前後には「社長が訊く」を読むのが半ば慣例となるぐらい面白い企画だなと実感しています。
しかし、2015年7月の岩田社長逝去の影響もあり、「社長が訊く」は更新が終了されました。
本日は、2006年12月に開始し、2015年のファイアーエンブレムifまで書かれた「社長が訊く」の中で、私が社長が訊くにハマった理由を交えたいと思います。また、読み物のありかたを変えた企画でもありますので、そちらについても語りたいと思います。
最初は「社長が訊く Wii プロジェクト」
さて、社長が訊くについて話す前に、まずは社長が訊く最初期の話について紹介したいと思います。
実は、社長が訊くは突発的なものではなく、最初はWiiの発売時に行われた特別企画でした。
当初、私も気持ち半分で見ている程度でしたが、これから遊ぶWiiというハードについて紐解かれるドキドキ感。貴重な任天堂開発スタッフの生の声が聞ける嬉しさ。その2つの相乗効果が最高潮になるまさにゲームファンには堪らない最高のコンテンツだったと思います。
高本
内部のファンを極力回さない、という命題についても、
はじまりに目標があったからこそ、クリアーできたことです。
LSI担当のチームはICの発熱量をおさえなくてはなりませんし、
デザインチームにもある程度放熱性も考えに入れてもらわなくてはならない。
それも、「夜のあいだはファンを回さない」という
じつに明確な目標があったからで。岩田
Wiiが24時間通電する「眠らないマシン」を目指すときに、
どうしてもそこは譲れなかったんです。
だって、夜中にゲーム機のファンが回っていると、
お母さんは「また、つけっぱなし!」と思って
電源を引っこ抜いちゃうかもしれませんからね(笑)。(社長が訊く Wiiプロジェクト vol.1第3回「明確な目標が合ったからこそ、Wiiはできた。」より一部整形して引用)
特に覚えているのがこの部分。vol.1の第3回「明確な目標が合ったからこそ、Wiiはできた。」からです。
この部分は、WiiConnect24について話しているのですが、何より岩田さんが嬉しそうにゲーマー視点で語ってくれるのがとっても面白くて、面白くて。
GDC 2005での岩田前社長の言葉で有名なものに「私の頭脳は開発者、心はゲーマー」というものがありますが、正しくその言葉に沿った文章であったと思っています。
インタビュー相手
社長が訊くは、多くの方々との対談をする企画です。
私としても、対談相手も滅茶苦茶ドキドキしています。全くみたことない任天堂社員の方々からどんなことが聞けるわけですからね。
ここでは何人か対談相手の中で印象に残っているを紹介していこうと思います。
(画像:社長が訊く Wii U Nintendo Land篇より)
まず、1人目は任天堂の情報開発本部の制作本部長でどうぶつの森の生みの親の「江口勝也」さん。Wii Uのプロデューサーの仕事もやられている為、近年はあまり社長が訊くやNintendo Directへの登場率は高くありませんが、Nintendo Land篇では、どうぶつの森に長年関わり続けてきた人らしく、Nintendo Landのどうぶつの森のアトラクションの際には積極的に話しています。
岩田
『どうぶつの森』の世界をつくった
江口さんからすると、どうなんでしょうか?(笑)江口
そう・・・ですね(笑)。
ただあれは、 Miiがどうぶつのかぶりものをしていて、 頭の中にキャンディーをほうり込むことで いっぱい入ってきたことがわかるから、 ゲームの機能がデザインで表現されているし、 オッケーです(笑)。
(社長が訊く Wii U Nintendo Land篇より)
ちなみに、江口勝也さんは、ゼネラルプロデューサーという形でSplatoonの開発にも関わっています。
2人目はアニメカービィ最大の戦犯有限会社ソラの取締役で、スマブラの開発に携わっている「桜井政博」さんです。
実は、星のカービィ 鑑の大迷宮までは、HAL研究所にいたのですが、その後はなんと独立して、桜井さんは現在ではスマブラやパルテナを作っています。
因みに、桜井さん自身は、毎回「これが最後」という気構えでスマブラを作っているらしく・・・フリーになった直後のスマブラ開発の時のスマブラXの社長が訊くでは…。
桜井
わたしがHAL研究所をやめたことが
話をややこしくしているんですよね・・・・・・。
岩田
ちなみに、断られたときのことも私は考えていて、
もしも桜井くんが関われないなら、既存の『スマブラ』、
つまりゲームキューブ版の『スマブラDX』を
なるべくバランスを崩さないようにして、
なんとかWi-Fi化しようと考えていました。
というよりも、桜井くんが関わらないならば、
『スマブラ』に新しい要素を加えることは
できないだろう、というふうに思っていました。
たしか、ホテルに来てもらったときも、
そういうふうに言いましたよね。
まあ、しかし、言葉はたいへんよくないですが、
あれは、ちょっとした「脅し」のような。
桜井
ええ。立派に「脅し」です。
岩田
(笑)。
岩田社長!?電脳部長*1!?…あれれ、おかしいな…い、いつもはこんなんじゃなかったのに…。え?脅し?
みたいな反応をして、PCの前で驚いたのがなんとも懐かしいです。
社長が訊くの中でも触れていますが、「桜井政博」さんは、岩田さんとはHAL研究所時代の上司でもあり、とても親しい関係であるということが私の印象として大きく残っています。
さて、長くなってしまいましたが、そろそろお別れの時間です。ここまでの記事の文字数は2500文字で、過去最長クラスとなる大型記事ですが、やっぱり「社長が訊く」は面白いです。
普段は知る機会のあまりないゲームの裏側についてとっても楽しく話す企画で、私にとって苦手だった読み物のあり方を大きく変えたと言っても過言ではないでしょう。
本当にありがとう、社長が訊く。
*1:ほぼ日での岩田社長の愛称のこと